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訪日に先立ってプーチン大統領が日本テレビと読売新聞の取材に応じた (2016年12月13日、モスクワ)

ロシアのプーチン大統領は15日からの日本訪問を前に、モスクワのクレムリン(大統領府)で、読売新聞、日本テレビとのインタビューに応じた。全文は次の通り。和訳: 読売新聞、日本テレビ提供。

日テレと読売新聞:インタビューに答えていただき、ありがとうございます。私たちも、秋田犬の「ゆめ」の元気な姿を見ることができ、とても嬉しい。(ゆめがほえる) ただ、最初からこういう形で威嚇をされるようなことがあって、ちょっとびっくりしている。

V.プーチン: こわがるのも無理はない。とても厳しい犬だから。人が大勢いて、たくさんのカメラがあって、照明がまぶしくて、カメラのシャッターがカシャカシャと音を立てている。彼女は私の警護を担当しているみたいだ。

日テレと読売新聞:いつも大統領をああいう形で守っているのか。

V.プーチン: ええ。そうだ。

日テレと読売新聞:今回は大統領として4回目の日本訪問を間近に控えている。毎日忙しいと思う。

V.プーチン: 私が覚えている限り、約11年前に大統領として日本を訪問した。その後、首相として日本を訪問したこともある。安倍首相とはよくやり取りしていて、我々は今年、数回会談を行った。

日テレと読売新聞:今回は安倍首相の故郷の山口県で首脳会談ということだが、何か期待は。

V.プーチン: ご存じのとおり、私は日本に非常に大きな関心を持っている。日本の歴史と文化に興味がある。だから、日本に関する自分の知識を広げて、日本に行けば楽しいと思う。私は東京に行ったことがあるし、二つの街に行ったことがあるが、そこ(山口県)にはまだ行ったことがない。しかし、どんなところなのか、何かおもしろいところがあるのか知りたい。安倍首相に詳しく説明していただけると信じている。

日テレと読売新聞:そこには温泉もあるが、温泉は好きか。

V.プーチン: (温泉に入ることは)考えたことはないが、それは楽しいことだと思う。

日テレと読売新聞:実は、大統領は日本では柔道家としても非常に有名だ。2000年の時には、巴投げも講道館で披露した。あの姿は日本人の目に焼き付いている。ちょっと柔道の話をさわりにしたいが、実は私たちも尊敬をしている山下泰裕さんのプーチン大統領評を取材したので一緒に見てほしいと思う。1分ほどのVTRだ。

(プーチン氏、山下氏のVTRに見入る)

日テレと読売新聞:いかがでしょう。

V.プーチン: とてもうれしく思う。山下さんは本当に日本だけではなく、世界中で認められている達人だ。山下さんは、私にとり、優れた選手であり、とても素晴らしい人のお手本だ。柔道は昔から日本文化の一部であり続けている。スポーツとしての意味だけではなく、哲学的な意味も含め、柔道というスポーツが日本に生まれたのは偶然ではない。

相手に対する尊敬、コーチや先輩に対する尊敬は非常に大事なもので、スポーツだけではなく、人生のほかの分野においても人との関係に良い刺激を与えている。私が子どものころから、そのすばらしい競技をやり始めたという運命をうれしく思っている。柔道は、私のいわゆる「初恋」だ。

ほかのスポーツも好きだ。アルペンスキーも水泳も。今は、アイスホッケーを覚えようとしている。でも、柔道は私の人生の一部で、とても大きな部分だ。

私は柔道を手始めに、継続的かつ真剣にスポーツに取り組めたことがとてもうれしい。だから、日本にとても感謝している。

日テレと読売新聞:2000年に来日した時には、講道館に行かれた。今回はそういう時間はあるか。

V.プーチン: 正直に言えば、訪問のスケジュールに講道館の訪問が入っているかどうかわからない。でも、時間が許せば、喜んで講道館に行きたい。講道館は柔道をやっている人やあらゆる柔道愛好家にとって特別な場所だ。柔道の総本山だ。講道館からは達人が生まれており、柔道家にとってのメッカだ。もちろん、時間が許せば、喜んで訪問したい。

日テレと読売新聞:後ほどまたもう一度、大統領の人間像に迫る質問をしたい。さて、日露関係だ。15日には山口県、これは安倍首相の地元だが、首脳会談がある。今年に入ってから、4回目の首脳会談だ。まして、安倍首相の地元となると、一定の集大成、非常に重い意味を持った会談というふうに期待感を持つ。大きな期待を抱いていいか。

V.プーチン: 首脳会談は非公式な雰囲気の中で行われれば、いつも、とても有益なものになる。我々(プーチン大統領と安倍首相)がともに取り組んでいる課題の解決を進めることができると期待を抱く理由がある。

私は日本との初めての出会いのことをよく覚えている。その頃、私はサンクトペテルブルクの副市長として働いていた。駐サンクトペテルブルク総領事が突然、私の部屋を訪ねてきて、日本の外務省が私を日本に招待したいと伝えた。私は柔道以外に日本とは全然関わりがなかったので、とても驚いた。その時、東京とほかの2、3の街を訪れる機会があった。ご存じのとおり、どの国の首都も儀礼的な雰囲気で、とても堅苦しい。一方、地方ではいつも話し合いがしやすく、交渉も行いやすい。

だから、安倍首相の故郷には忌憚なく効果的で建設的な話ができる雰囲気があると期待している。

日テレと読売新聞:今年は1956年の日ソ共同宣言、鳩山一郎首相とブルガーニン首相が署名してから、ちょうど60周年の記念の年になる。この歴史の節目で日本国民は非常に大きな期待をしているが。

V.プーチン: あなたは今、日ソ共同宣言の締結60年に触れた。ちなみに、これは国交回復60年のことで、日本とロシアとの関係はもっと深く根を下ろしている。我々には150年にわたる外交関係がある。150年以上だ。だから、60年前だけでなく、もっとさかのぼって見つめなければならないという気がする。そうすれば、ずっと先の未来を見通すことができるだろう。

100年以上にわたる両国関係の歴史全体を見ると、この60年、我々の関係にはさまざまなことがあった。悲劇的な局面もあった。国交を回復した1956年以来、残念ながら両国間の協力において、我々の今日の希望に沿った適切な関係を築くことができる基礎はまだない。我々は世界、極東地域におけるパートナーだが、平和条約がまだないため、両国関係を多面的に進展させることができない。

だから、当然、我々は平和条約の締結をめざす。我々は完全な関係正常化を求めている。ロシアと日本との間に平和条約がないことは、過去から引き継がれた時代錯誤だ。時代錯誤は解消されるべきだ。しかし、どのように解消するかは難しい問題だ。

あなたは共同宣言に触れた。その宣言には、両国が履行すべき、平和条約の基礎となるルールが書かれている。共同宣言を注意深く読むと、まず平和条約を締結し、その後、共同宣言が発効して、二つの島が日本に引き渡されると書いてある。どのような条件の下で引き渡されるのか、どちらの主権下に置かれるのかは書かれていない。にもかかわらず、共同宣言は署名された。

署名されただけではなく、ソ連の議会であった最高会議と日本の国会によって批准された。しかし、その後、日本側は共同宣言を履行しないと発表した。そのあとでソ連も、共同宣言がソ連のみで一方的に履行されてはならないと発表した。2000年に当時の日本の首相は、共同宣言に基づいた交渉に戻るように私に呼びかけた。私は賛成した。

それ以来、我々は対話を進めているが、日本のパートナーや友人たちが、共同宣言の枠組みの中にとどまっているとは言えない。安倍首相と私の交渉について予測するのは時期尚早だ。もちろん、前進を期待している。

日テレと読売新聞:1956年の共同宣言をベースにということを言った。2000年も含めて、多くの首相、ロシアの大統領が協議を重ねてきた。今の安倍首相も4島の帰属の問題を解決して、平和条約を締結するという立場だと認識をしている。そして、大統領と安倍首相の間ではこの1年以上、かなり精力的に議論が行われたと理解している。特に、昨年の秋のニューヨークから始まって、その時は10分だと思うが、今年になってからもソチ、ウラジオストク、リマで、2人だけの会談を重ねてきた。私たちがカウントすると、その時間だけで2時間15分になる。現在、この領土の問題を解決して、今度の首脳会談で平和条約の締結にまで持って行くということは現段階で見通すことができないと考えていいのか。

V.プーチン: もちろん、平和条約締結をめざしている。もちろん、そうした結果をめざしている。しかし、あなたは共同宣言に触れたが、日本のせいで交渉が中断した。日本のパートナーが求めたので、我々は2000年に再び共同宣言に基づき、平和条約締結をめざすことにした。

共同宣言には2島について書かれている。だが、(あなたは)4島の問題について言及した。つまり、共同宣言の枠を超えた。これはまったく別の話で、別の問題提起だ。

私は日本、日本文化、柔道などの日本のスポーツが大好きだ。しかし、私はロシアの方がもっと好きだと言っても、みなさんを侮辱することにはならない。私はロシアの、安倍首相は日本の国益の観点から交渉する。

私たちは妥協点を見いださなければならない。第2次大戦という20世紀の恐るべき悲劇の結果は、しかるべき国際的な文書によって確定していることを理解しなければならない。第2次大戦の結果として成立した国際法の基礎を崩さず、論争をどうやって解決するかはとても難しいことだ。

だから、我々の交渉の進展や結果について、予測することはできない。今、我々が話していることは、70年前の出来事から引き継いでいることだ。いずれにしても、70年にわたり、我々は平和条約の締結問題を含めて、対話を進めてきた。

安倍首相の故郷を訪れる中で、この問題をどうやって解決できるか、はっきりと理解できるようになりたい。そうなれば、とてもうれしい。チャンスはあるのだろうか。おそらく、いつもある。なければ、話し合うことはなにもない。これらのチャンスがどれくらい大きなものなのか、今は言えない。それは我々のパートナー(日本)の柔軟性にかかっている。

日テレと読売新聞:1956年の共同宣言から60年たった。プーチン大統領の国内的な政治基盤は非常に強固だ。80%以上の人の支持を集めている。安倍首相も、強い政権基盤を持っている。私たちの世論調査でも、50%を超える人の支持を得ている。日本国民の側の理解だが、世論調査を見ると、かつては4島一括返還でないといけないという声が大きかったが、最近では2島先行返還でもいいという人の声も大きくなってきた。今はまさに三つの要素がそろったジャストタイミングだと思う。大統領は、これだけの条件が揃いながらも、前に進むことが困難な状況だという認識なのか。

V.プーチン: そうだ。おっしゃる通りだ。安倍首相も私も国内の支持率はかなり高い。しかし、私にその信頼を乱用する権利がないと考えている。

見いだすことができるどんな解決策もロシアの国益に合致しなければならない。しかし、我が国の国益のリストには日本との関係正常化が含まれていて、それは最後の項目ではない。

これが解決のために提案された総合的な対策だ。両国間の関係の正常化に関する対策だ。その後、どのように進むのかという重要な課題のパッケージだ。それは討議され、決断されなければならない。ただし、その解決策は実務的なものであるべきだ。

例えば、私は首相と一緒に両国、両国民の間の友好と信頼の雰囲気作りについてよく話し合ってきた。これは正しいことだと思う。

その信頼を基礎として、平和条約締結への準備について合意すべきだ。それは、例えば、南クリル諸島における大規模な共同経済活動の結果として達成することができるかもしれない。

また純粋に、人道的な問題を解決することによって達成できるかもしれない。例えば、南クリル諸島の元島民がビザなしで昔の居住地を訪ね、墓参りをし、故郷を訪れることなどだ。

それは我々が検討し、一つ一つ解決する大きな問題のパッケージだ。2000年に交渉が再開された後、我々は平和条約の締結に向けた交渉を拒否したことはない。しかし、数年前に、日本が一方的にその交渉を中断して、我々との接触を断った。我々が日本との接触をやめたのではない。

日本側が我々との接触を拒否した。これが第一だ。第二は、日本はロシアに対する制裁に加わった。制裁を受けたまま、経済関係をより高いレベルに進展させることができるのだろうか。私は今、日本は何ができたか、何をするべきだったかと評価したくない。それは私ではなく、日本の指導部のやるべきことだ。

しかし、日本が(米国との)同盟で負う義務の枠内で、露日の合意がどれぐらい実現できるのか見極めなければならない。日本はどの程度、独自に物事を決められるのか。我々は何を期待できるのか。最終的にどのような結果にたどり着けるのか。

それはとても難しい問題だ。今おっしゃった通り、明らかに前向きな前提があるにもかかわらず、その前提は確かにあるのだが、我々は今すぐ最終的な合意を達成できると100%確信を持って言えるのだろうか。わからない。これはまだ、真剣な検討が必要な問題だ。でも、我々は本当にそうした結果を目指している。 

日テレと読売新聞:日本は、G7の一員だ。その中で、安倍首相はプーチン大統領との話し合いを進めようと懸命にいろいろなことを考えている。その一つとして、大統領が述べた自由往来がある。今まで島民とその家族に限られていたところを経済人や観光客に広げて、4島での自由往来をしていく。さらに、それを進めれば、共同経済活動になる。それがこの平和条約締結の解決に繋がる道ではないかと我々は考えているが。

V.プーチン: 人道的な問題の解決に関しては、安倍首相から提案があった。彼はリマでの会談でその問題を提起した。日本人がビザなしで、故郷である南クリル諸島を訪れることで合意できるかと聞いてきた。私は「賛成だ。可能だ」と答えた。必要なことは、両国の外務省が技術的な問題を解決することだ。政治的な障害はないと思う。

それは、経済分野でも同じだ。我々にはそれ(共同経済活動)の用意があるが、日本がロシアに対して制裁を続けたままで、同盟の義務を怠ることなく、それをやる用意があるのか。我々はその質問に対して答えを出すことはできない。日本だけがその質問に答えを出すことができる。

私たちはそれをはっきりと理解しなければならない。将来に向け、何らかの保証が必要だ。

他の地域の例を挙げよう。我々は黒海の海底を通じたブルガリアへのパイプラインを建設することで合意した。パイプラインの建設に向けた一定の技術的な契約を結んだ。その後、ブルガリアは自らの国益に反して、我々がそのプロジェクトを実現できない条件を作ってしまった。以前のブルガリアの指導部はそれがわかっていたし、認めていた。

ところが、我々は彼らを信頼してプロジェクトを開始した。最終的に、ブルガリアがそのプロジェクトをやめたことがわかったときに、我々もやめざるを得ず、数億ドルの損害をこうむった。我々は同じような状態に絶対に陥りたくない。

幸いにして、我々と日本との関係において、そのような問題が生じたことはない。しかし、そのような問題が将来にも起きてほしくない。だから、我々は前もって、あらゆることを計算しなければならないし、あらゆることで合意しなければならない。ただ合意するのではなく、互いの義務の実現を保証できる法的文書の形で、その合意を確かなものにしなければならない。

日テレと読売新聞:かつて大統領自身はこの平和条約締結までの道のりを、柔道の試合に例えたことがあった。試合はまだ続いていたとする。例えば、オリンピックだと、5分間の試合時間があって、今は5分間の中ではどのぐらいの時点なのか。もう延長戦に入っているのか。

V.プーチン: いや、それについてはもう話した。我々は交渉を行ってきたが、その後で、日本側は一方的にこの交渉を中止してしまった。ところが今度は、日本側の希望で、我々は再びこの交渉に戻ることになった。この場合は柔道にたとえると、どのような指示が出ているのだろうか? あなたがたは、私よりもよくご存じだろう。「よし」。続けなさい、というわけで、我々は交渉を続けることになった。 

日テレと読売新聞:そうすると、まだその続けようとする両方の意志が今、重なっただけで、この後の道のり、結論は、現在は見通すことができないという認識か。

V.プーチン: 今日、非常に多くの問題があり、それらの問題は様々な省庁で専門的に分析しなければならない。例えば、政治面では外務省、経済関連では経済関連の省庁、安全保障を担当している省庁のラインだ。我々は、何について合意できるのだろうか。日本とロシアにとって、どんな結果をもたらすのだろうか。すべてを考慮し、理解しなければならない。それは、露日の国民が、妥協が受け入れ可能で、それぞれの国益に合致するとの結論に達するためだ。 

日テレと読売新聞:北方領土の問題はロシアから見ても、唯一残された国境線の問題だと認識している。2004年には、中国との間で4300キロ・メートルにわたる国境の画定をすでに終えている。

V.プーチン: ロシアには、領土問題はまったくないと思っている。ロシアとの間に領土問題があると考えているのは日本だ。しかし、それについて我々は話し合う用意はある。 

日テレと読売新聞:しかし、私たちが認識する限り、相当レベルの首脳同士の会話があり、その過程では、新しいアプローチという言葉も出てきたと認識している。日本の首相が言った言葉かもしれないが、双方の間で新しいアプローチを模索しようという形で、話し合いの前進があるのではないかと想像していた。今、大統領の話を聞く限り、実質的な前進がまだ得られていないというのが印象だ。

V.プーチン: イエスでもあり、ノーでもある。前進はある。安倍首相が提案し、平和条約締結と領土問題の解決に向けての弾みをつけたように見える。安倍首相は何を提案しただろうか。信頼の協力の状況を作り出すことを提案した。他の方法では、平和条約締結に向けた文書に署名するのは想像もできないだろう。我々が言っているように、互いに信頼し合い、協力し合うことがなければ、文書に署名するのは不可能だ。

だから、我々は、こうした状況を作り出すことに同意している。その意味で、前進は確かにある。例えば、安倍首相は、露日両国の最も重要で興味深い協力活動の分野において、8項目の経済協力プランを提案し、経済協力を新たな水準に引き上げるよう提案した。

安倍首相は、人道的性格を持つ問題を解決する必要性にも注意を向けた。これらの問題の一つについては、すでに言ったように、日本国民による南クリル諸島へのビザなし渡航の問題だ。他の分野もある。例えば、文化交流。これは非常に重要なことだ。スポーツ、柔道だ。これを私が口にするのは、きょうも話が出ている通り、私が柔道をやっているからだろう。

文化交流はほぼ毎年、日本では何らかのロシア関連イベントが行われている。来年、日本で、一連のイベントを開催する予定で、それを「ロシアの季節」と名付けたい。40以上の様々なイベントを、日本の各都市で行うことを考えている。ロシアでの日本文化に対する関心は、日本でのロシア文化への関心よりも小さくないと私は断言する。我々は、日本の歴史と日本そのものに敬意と関心を抱いている。日本の歴史と文化は、非常に独自のものがある。ロシアでは、非常に大きな関心が持たれている。こういったことすべてを我々が実現できればいいのだが。

国際安全保障の分野での協力についても、話すことができるし、話さなければならない。それも、極東地域だけのことではない。大量破壊兵器の拡散による危険の増大に、我々は不安を感じないだろうか。例えば、ミサイル技術が例に挙げられる。それは、世界にも、地域にも一定の脅威をもたらしている。露日両国には、両国の利害に関する明らかな共通項がある。

もし、露日両国がこれらすべての分野で協力すれば、安倍首相が述べている信頼のための条件を作り出すことができる。その条件というのは、平和条約の締結に向け、さらに一歩前進するためのものだ。最初に、この部分を突破しなければならない。その後で、平和条約を締結する条件について合意する必要がある。いずれも、簡単な課題ではないが達成は可能だ。これらの目的は達成できるし、課題は解決できる。 

日テレと読売新聞:大統領はこの8項目の経済協力プランについて、平和条約締結のための唯一の正しい道だと述べた。この8項目の経済協力プランは今、その平和条約締結の条件としては、最も重要だと考えているのか。

V.プーチン: ご存じの通り、これは条件ではない。これは、必要な雰囲気作りだ。我々は中国と、中国の友人たちと、国境問題について40年交渉してきた。40年だ。露中関係でも国境問題があった。しかし、我々は今、露中関係を戦略的パートナーシップに位置づけている。しかも特権的な戦略的パートナーシップだ。ロシアには中国との間でかつて、これほどの信頼関係はなかった。

中国は国の規模で言えば、我々の経済・貿易面での最大のパートナーだ。我々は、大規模で巨額の共同プロジェクトをいくつも実現している。我々は、国連の安全保障理事会で協力しているだけではない。協力しているのは中国とロシアが常任理事国なので当然だが、それ以外にも上海協力機構や、いまやグローバルな連合体のBRICS(新興5か国)でも協力している。現在、旧ソ連圏で我々が創設したユーラシア経済同盟について話し合いをしている。我々は、ベトナムと結んだような自由貿易協定を中国と結ぶために協議している。

その後は、中国の「一帯一路」構想と、我々が創設した地域機構とをつなげる用意がある。つまり、露中関係がこの20年で、いかに多様で多面的になったか理解できると思う。我々は国境問題も解決した。そのことは、何ら大きな問題を引き起こさなかった。何らかの問題があったかと言えば、中国にもロシアにもなかった。もっとも、我々は互いに譲歩、妥協に踏み出した。これは友好国の間の妥協だ。こういった妥協は、友好関係がなければ事実上不可能だと思う。安倍首相の提案は、私の考えでは、我々の目指す目標を達成するおそらく唯一の道だ。 

日テレと読売新聞:中国との国境画定について、大統領は中国と深い信頼関係にあるが、日本との間にはまだその域には達していないと述べた。

V.プーチン: たった今答えたばかりで、あなたはもうご存じのはずだ。中国との貿易額が最も大きく、通商関係もどんどん自由化している。ところが、日本は我々に対して経済制裁を科した。あなた方は、この違いが分かるのか、分からないのか。

日本はなぜ、ウクライナやシリアの問題を露日関係に結びつけるのか。日本には同盟関係上の何らかの義務がある。我々はそのことを尊重するのはやぶさかではないが、我々は日本がどのくらい自由で、日本がどこまで踏み出す用意があるのか理解しなければならない。日本がどこまで踏み出すかを明らかにすることが必要だ。これは二義的な問題ではない。平和条約署名という最終合意のために、何を両国間の基礎とするかによって、結果は違ってくる。これが、現在の露日関係と露中関係の違いだ。何も比較しようとしているのではない。ただ、あなた方が何について話しているか聞き直したので、こう答えたのだ。問題は、信頼の雰囲気を作り出すということだ。 

日テレと読売新聞:大統領は南クリル諸島での総合的な政策のパッケージに先ほど言及した。共同経済活動という選択肢があるのだろう。この共同経済活動については、どういうイメージを持っているか。北方4島全てでという考え方もある。あるいは、4島の中の一部の地域をいわば経済特区として、そこで共同経済活動をして行くというような選択肢もあるんだろうが、大統領の中ではどういうイメージでこの活動を捉えているか。

V.プーチン: ご存じのように、第一に、私の考えでは、広い意味で貿易・経済関係を改善する必要がある。この2年間で残念ながら、露日間の貿易は落ち込んだ。以前の水準まで回復するため、さらに拡大し前進するため、あらゆることをしなければならない。露日両国は、すでに私が述べたように、パートナーになるのが当然だ。なぜなら、当然のことだが、極東全域の発展に日本が参加し、技術を日本から導入することは我々の利益になるからだ。

経済協力の良い例がある。例えば、自動車産業、その他の分野。農業分野には、日本は積極的に進出している。ついでに言えば、ロシアのエコロジー的にクリーンな食肉に、日本が市場を開いてくれることを期待している。

露日両国には、多くの興味深いエネルギー(協力)の方向性がある。日本で消費される石油・ガスの9%は、ロシアから輸入されている。さらに、発展の展望がある。「サハリン1」、「サハリン2」は活発に操業し、そこで生産されるガスや石油の70~75%は長期契約で日本に輸出されている。第3工場建設の計画もある。現在、ヤマル半島に日本のパートナーが参加する計画が実現している。露日両国には、活動すべきことがあるし、展望もあり、規模も大きい。

南クリル諸島について言えば、様々な選択肢があり得る。我々は、1島でも2島でも、3島でも4島でも共同活動を検討する用意がある。重要なのは条件だ。その条件は、できるだけ自由なものでなければならない。このことについては安倍首相が述べており、私も賛成だ。 

日テレと読売新聞:ロシアの法律の下でなのか、日本の法の下でなのか、第3の機関を作って、その法の下でなのか。そのあたりの考えは。

V.プーチン: 日本人は非常に創造的で頭のいい国民だと思う。今あなた方は、議論に対するアプローチのすばらしい例を示した。日本の主権の下、島々で経済活動を展開する問題が提起された。しかし、第一歩がそうだと、第二歩は必要ないことになってしまう。問題は、それで終わりとされてしまう。我々はそういう合意はしていない。

我々は、まず政治的な性格の問題を解決し、その後、平和条約締結問題を解決することで合意した。あるいは、両者を一緒に解決しようと。しかし、単に可能性のある協力の計画を描くだけでは、我々は平和条約の締結問題、その基礎となる領土問題を解決することはできない。だから、これは専門家による入念かつ慎重で具体的な交渉で決められるべきだ。 

日テレと読売新聞:経済協力で日本にも利益があるが、一定の努力をして、もう一つ領土を動かしたい。動かしてほしいと希望を持っている国民が多い。大統領自身は、56年の宣言が唯一双方で批准した法的文書だと再三強調している。一方、条約締結後に歯舞と色丹の2島を引き渡すと明記されている。引き渡すことの定義については、主権を渡すことではないと。そう書いていないと。信頼醸成が効果を上げた場合、この2島の引き渡しはどういう形になるのか。

V.プーチン: それについて話すのは時期尚早だ。あなた方は、いつも共同宣言を引き合いに出すが、日本はその履行を拒否した。もし首相や内閣が、この宣言に戻るというなら、我々は話し合う。もし、あなた方が注意深く、共同宣言をご覧になれば、9項で(2島)引き渡しについて書かれているが、どちらの主権で、どんな条件で引き渡されるか明記されていないことが分かるだろう。

非常にたくさんの問題が残っている。共同宣言の枠内だけでも、まだ多くの作業が必要だ。もし、日本側が共同宣言の枠を超えるのなら、これはまた別のテーマだ。しかし、このように厳しい旧来の問題を解決するためには、私は安倍首相に賛成で、両国間の信頼、友好、協力の雰囲気を作らなければならない。まさにそこから始めなければならないと私は思う。

日テレと読売新聞:安倍首相とは10年間で相当の回数会い、名前で呼び合う関係だ。信頼があると思う。4島の帰属と平和条約交渉は、2人がいる間に解決するという、歴史が用意した良い局面だと思う。国民の絶大な信頼がある。安倍首相も支持率が高い。いつまでに解決したいという思いはあるのか。

V.プーチン: 当然、我々は、それを目指そうとしている。なぜなら、対日関係における過去のすべての問題を解決することは利益になるからだ。我々が前進することを妨げるものがあってはならない。このことは、ロシアの優先事項の一つだ。我々はそれを望んでいる。

しかし、私の任期、安倍首相の任期で何らかの期限を定めることは、プロがするべきことではない。なぜなら、我々は任期についてではなく、可能性のある合意の質についてこそ話し合うべきなのだから。以上が第一の点だ。

第二に、確かに現在のロシアの大統領と日本の首相に対する支持率はかなり高い。私は支持を乱用する権利があるとは思っていない。このことについてはすでに述べた。もちろん、私も安倍首相も、在任中になんらかの大きな成果を上げることを望んでいる。

安倍首相について言えば、私は彼の立場を知っているが、できれば在任期間中にこのプロセスに終止符を打ちたいと望んでいる。私も対日関係だけでなく、ほかの方面においても、例えば内政でも、経済、国際関係においても、何か意義のある成果を上げたいと望んでいる。ただそれができるかどうかまだわからない。

日テレと読売新聞:安倍首相をどう評価するか。タフネゴシエーターか、よきパートナーか。

V.プーチン: 私の印象では、安倍首相は第一に(政治家として)立派なプロフェッショナルだ。これは明らかなことだ。疑問の余地なく、自分の国をとても愛しており、その国益を守ることを目指している。非常に実務的にそれを実現するためにアプローチしている。

非常に信頼できるしっかりしたパートナーで、具体的で大変重要なものごとについて合意できる人物だ。私は、そうした理解に基づき、これからも彼との関係を築いていくつもりだ。その中には、両国の協力関係における最も厳しく、重要な問題も含まれている。 

日テレと読売新聞:日露関係のしめくくりに、一つ聞きたい。ロシアに有名なことわざがある。「静かに行くほど遠くに行く」と。遠くに行くことを日本とロシアの関係の強化発展とするなら、前段はどういうことを想定しているのか。

V.プーチン: このことわざは、なにか重要なことを決める際には、急いではならないという意味だ。慎重に急がずにやれば、最良の結果、最高の質を得ることができる。これは、目的を追求する際にさぼった方がいいと言っているわけではない。目的を追求しているようなふりをしろと言っているのでもない。拙速を避けて、良質の仕事をしなさいということだ。

日テレと読売新聞:国際関係についてうかがいたい。まず、アメリカとの関係だ。承知の通り、ドナルド・トランプ氏が次期大統領に当選して、大統領ご自身は11月14日に電話で会談した。トランプ氏には、どんな印象を持っているか。どんな会話をしたか。

V.プーチン: 私は彼とは電話で話しただけだが、安倍首相は実際に会っている。だから、当選した次期大統領に最初に会った安倍首相に聞いたらいいのではないだろうか。

よく知られていることだが、次期大統領は露米関係の正常化に賛成の立場だ。我々としては、これを支持しないわけにはいかない。我々は当然、それに賛成で、私自身すでに公に述べたことだが、これが簡単な課題ではないと理解している。それは今日の露米関係の悪化をみればなおさらだ。しかし、我々としては応分の努力をする用意がある。

日テレと読売新聞:年次教書演説では、「我々には世界の安全保障と安定を確保する共通の責任がある」と述べている。どのような協力をする用意があるのか。

V.プーチン: 国際安全保障の分野について言えば、アメリカとロシアは依然として最大の核保有国だ。我々は一緒に大量破壊兵器とその運搬手段の拡散防止のために戦う用意がある。我々は、ともに働く用意がある。国際テロリズムとの戦いで、これまでよりずっと密に協力する用意がある。この点で、露米両国にはもちろん多くの可能性がある。

仮に我々がしばらく協力していたならば、今日、世界が直面している多くの問題は避けられただろう。いずれにせよ、それらの問題はこれほどひどくならなかった。例えば、世界の多くの地域、ヨーロッパ、アメリカ、ロシアでのテロ活動や犠牲は避けられた。難民問題もこれほどひどくならなかったはずだ。私はその点はまったく疑っていない。

もうひとつの分野がある。露米の経済協力だ。すでに知られていることだが、我々はロシアの大手石油会社ロスネフチの大規模な民営化を行った。ロスネフチは、カタールの国営基金と、大手国際投資会社グレンコアからなる共同事業体に自社株19・5%を売却した。

我々は、はっきり知っているのだが、アメリカの企業は日本企業と同様にロシアの石油・ガスの分野での協力に大きな興味を示している。これは、世界のエネルギー市場にとって、大きな意義を有しており、世界経済全体に直接影響する。

また、地域紛争の解決においても両国は、非常に多くのことをなしうるし、宇宙開発分野でも平和目的での協力を続けることができるはずだ。ちなみに、日本も国際宇宙ステーションの枠内で、有人宇宙飛行において、かなり活発に活動している。我々には、ほかにも多くの分野があり、いずれも、両国の利益になると確信している。

必要なのは、善意だけであり、お互いの利益を考慮しつつ実際の作業に移らなければならない。私の考えでは、これが必須の条件であって、次期大統領はまさにこうした協力への用意がある。

実際にどういうことになるかは、我々はいまのところわからない。彼の正式な就任と新政権の発足を待たなければならない。我々は、よく承知しているが、近年、露米関係の発展に対し、懐疑的あるいは警戒感を持って見る人間が少なからず現れた。しかし、両国の深くかつ根本的な利益のために、関係正常化が必要だ。 

日テレと読売新聞:オバマ米大統領時代に比べると、関係を良くしようという思いがあると言われた。早い時期に直接会うのか。

V.プーチン: 我々は、アメリカの政権とも関係を発展させたかった。しかし、いくつかの根本的な分野についてはあまりうまくいかなかった。これは我々のせいではない。私はいま、近年起こった問題を並べようとは思わない。例えばそれは、複数の喫緊の問題を解決するうえで生じたのだが、例えばアメリカはシリア問題の解決について提案を行った。しかし、その際突然、国連の場で、自分たちはロシアとはどんな問題についても話をするつもりはないと明言した。アメリカのある省庁では何を望んでいるのか、別の省庁では何をやりたがっているのか、共通の立場はあるのかを理解しなければならない。こういうことが一度ならず、露米関係の非常に多くの分野で、再三起きた。

オバマ大統領が述べたことに関係する根本的ないくつかの問題もある。私が言っているのは、アメリカは特別だという考え方のことだ。私はこの考え方には懐疑的だ。もちろん、アメリカは偉大な国であり、アメリカ国民は偉大な国民だ。疑問の余地はない。だれもそのことで論争しないが、特別だということは、まったく余計だと思う。このことは、ロシアだけでなく、他の国との関係においても問題を引き起こすはずだ。

次期米大統領についていえば、彼には自分なりの考え方がある。それは極めて当然だ。彼の目指すところ、すなわち「アメリカを再び偉大な国にする」という考え方については、彼がそれをどのように展開していくのか、まだこれから理解しなければならない。しかし、露米関係の発展に問題が起きないように望む。

会談は、次期大統領が正式に就任し、政権を発足させるのを待たなければならないと思う。その後で初めて、会談について話すことができる。我々としては、いつでも会談の用意があり、我々の側には何の問題もない。しかし現在は、新政権発足に向けての大変な時期だと思うので、我慢し、待たなければならない。 

日テレと読売新聞:経済制裁への言及があったが、米露関係の変化で影響があると期待するか。

V.プーチン: これは、露米関係だけの問題ではない。私の考えでは、政治的な思惑による経済分野のいかなる制限も、世界経済全体にとって極めて有害だ。これは、ゲームの統一性とルールを破壊する。

つい先日、リマのAPEC(アジア太平洋経済協力会議)の首脳会議で、我々はこのことについて話をした。APECに出席したアジア太平洋地域のほとんどの首脳が、異口同音に述べた。「我々は、世界貿易の非常に厳しい危機のさなかにある」と。危機は、いくつかの国の市場における制限と関係している。これは、政治的な手法を利用した結果だ。競争において経済上の制限を用いて政治的な目的を達成しようというものだ。

これは、世界経済の秩序を破壊している要因のひとつだ。その秩序はかなりの部分、米国自身によってGATT(関税・貿易一般協定)の草創期につくられたものだ。GATTは後に世界貿易機関(WTO)に生まれ変わった。ところがここにきて、環太平洋経済連携協定(TPP)、環大西洋貿易投資連携協定を創設しようという話が持ち上がっている。これについては、WTOを回避するものではないかと我々は懸念を抱いている。WTOの枠内では、途上国と妥協することができないからだ。

これは良いことだろうか。あまり良くないことだと我々は思う。もし、世界経済が閉鎖的な経済ブロックに分かれてしまえば、経済活動および世界貿易の国際ルールについて共通理解を得て、それを適用することはかなり難しくなる。だから、我々はルールは普遍的であるべきだと主張している。地域連合体をつくる場合、国際貿易機関やWTOの規範にのっとって活動すべきだ。我々はこうした点を前提として考える。アメリカの新政権が発足した後、近い将来、状況がどう展開するかは、いまのところ分からない。時がそれを示してくれるだろう。 

日テレと読売新聞:中国との関係がかなり軍事的にも親密になってきている。年次教書のなかでも、中国、インド、日本、米国の順だった。中国が一番大事な国との認識か。

V.プーチン: もちろん、まったくその通りだ。ロシアにとって、中国は最大の貿易相手国だ。これが第一だ。第二に、露中は非常に大きな共同プロジェクトがある。それは、原子力エネルギー、物流インフラ、機械製造、貿易全般だ。また、航空産業でも素晴らしい共同プロジェクトがある。ヘリコプター製造や航空機の製造だ。我々は、宇宙開発分野でも積極的に協力している。この分野でも、展望は良好だ。

露中の政治的な信頼は非常に大きく、主な国際問題について立場が近いことがしばしばありうる。あるいは、外交官が使う言い方をすれば、「意見が一致」している。我々は、現代の国際情勢の重要な問題に関して共通する立場を取ることがとても多い。露中両国では、非常に密接な民間交流、青少年の交流も大規模に行っている。また、教育、地域間の交流もさかんだ。交流はますます発展している。

さらに露中間のインフラ整備の分野でも関係が拡大し、向上している。聞いたことがあると思うが、中国は、ボルガ川周辺地域を通過するモスクワ―カザニ間の高速鉄道建設に参加する意向だ。我々は高速鉄道をカザフスタン、中国にも延長する計画だ。地域間協力では、道路や橋が建設されている。つい最近、完成したばかりだ。地域間協力の規模は絶えず拡大している。だから、次のように言える。中国とは真に友好的な関係が形作られた。多くの重要な分野で、誇張なしに戦略的な性格をもった関係が形成された。しばしばこういう言い方をするが、特権的な戦略性だ。 

日テレと読売新聞:いま世界の潮流となっているポピュリズム(大衆迎合主義)についてどう考えるか。

V.プーチン: 私がそれについてどう思うだろうか。政治におけるポピュリズムは、つねに大きな危険をはらんでいる。というのは、人々に方向感を失わせ、余計な期待を植え付けるからだ。あるいは逆に、明らかに優先的でもない、単に達成不可能な目的に向けて人々を駆り立てるからだ。これは、まったくの徒労か、あるいは有害だ。だから、ポピュリズムにはなにも良いことはない。あなた方がこの点に関する私の意見を聞きたいのであれば、これがその答えということになるだろう。 

ポピュリズムは普通、刹那的で政治的な思惑でなされるものだ。それをする人間は、結果について考えず、先のことを考えず、自分の義務を果たそうとは思わないし、そのつもりもないのだ。 

日テレと読売新聞:2018年に大統領選挙がある。あなたはなぜ高い支持率を保てるのか。若い人の支持が多いが。

V.プーチン: それについては、支持してくれる人に聞いてみるべきだ。おそらく人々は、私が一生懸命、公明正大かつ誠実に、心から国にとって必要な成果の達成を目指し、働いているのを見ているのだと思う。人々は、私がすべてを達成可能ではないことに気付いている。ロシア人は賢いし、よく観察している。

しかし、肝心なのは、できるだけ成果を上げようと心から思って頑張ることだ。ロシアがとても安全で、生活が良くなっていると感じられるよう目指すことなのだ。私は実際、そのように働くよう努めている。だから、ロシア国民が私の仕事をそのように見てくれることに対し、その支持に対し、非常に感謝している。そのような支持がなければ、仕事をするのは不可能だろうからだ。 

日テレと読売新聞:日本で尊敬する人物は。

V.プーチン: もちろん、嘉納治五郎だ。私のところには、嘉納治五郎の肖像画が数点あるし、非常に美しい胸像もある。残念ながら、いまここにはないが、皆さんにできればお見せしたかった。私のいつも住んでいる公邸にある。それは、ロシアの彫刻家による非常にすぐれた作品で、意志の強さだけではなく、思慮深い善良な人柄が表現されている。 

日テレと読売新聞:あなたにとって柔道の哲学とは。 

V.プーチン: それは、私の手に負える質問ではない。柔道を本当に知っている人、柔道を愛している人が答えるべき質問だ。 

日テレと読売新聞:改めて、日本訪問を直前に控え、日本人に伝えたいメッセージは。

V.プーチン: いま申し上げたいのは、両国には残念ながら多くの未解決の問題がある。しかし、ロシアでは非常に多くの人々が日本を知っているし、愛している。まったく無条件に確信しているのだが、我々はいつの日か、必ずあらゆる問題を解決できるだろう。しかし、いつ実現するかに関係なく、今日すでにロシアに住む何百万という人々が、大袈裟でなく、日本にひかれている。日本の何百万という人々もそうだろう。

お互いを知り合おう、互いに協力しよう、有益な情報を交換しようという気持ち、そして未解決のすべての問題を解決しようという心からの願いがある。(終わり)