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ロシア外務省・不拡散軍備管理局長M.ウリヤノフ氏 インタビュー(インターファクス通信、2017年4月6日)

質問:ウリヤノフ局長、昨日国連安全保障理事会では4月4日にシリア・イドリブ県ハンシャイフンの居住地域で起きた悲惨な出来事をめぐり、化学兵器の使用に関する議論が行われました。この議論について、どう評価されますか。

回答:現在安全保障理事会の議長国を務める米国の主導により、テレビカメラを入れた公開議論が行われたことは、ロシアの立場をより広く伝えることを可能にした点でよかったと考える。しかし、具体的事実に基づいたロシアの主張と時に一方的としか言えない主張を行う西側諸国との間に隔たりがあったことには残念な印象を持っている。まさにその一例と言えるのが、米国国連大使によるハンシャイフンで被災したとされる子供たちの悲惨な写真の披露である。こうしたプロパガンダ的なやり方は、2003年2月の国連安全保障理事会でコリン・パウエル氏がイラクへの軍事介入を正当化するために行ったあの悪名高い試みときわめて類似している。しかし、こうした米国による「高潔なる」感情の披露は真剣に取り合うに値するものではない。というのも、米国及びその同盟国は数週間前にイラク・モスールで起きたISISによる化学兵器攻撃で未成年を含む多くの一般市民が被害を受けた同様の出来事については、まったく無関心を決めているからである。要するに、西側諸国にとっては同じような年齢の子供たちであってもシリアの被害者の方がそのすぐ隣国であるイラクの死者よりもはるかに可哀そうだということだ。これが例によってお得意の「ダブル・スタンダード」(二重基準)の適用であるのは明らかであり、その根底にあるのは人道的配慮とはまったく無縁なものである。

質問:この問題をめぐり米・英・仏によって提出された決議案について、ロシアとしてはどんな点で納得できないのでしょうか。

回答:まず次の2つの点が納得できない。第一に、調査を行う以前からこの悲劇を起こした罪をシリア政府に帰している点である。ふつうの人間の論理に従えば、逆の順序になるはずだ。すなわち、まず最初に調査を行い、その上で有罪判決を言い渡すのが筋である。西側3国が提出した案に見られる2つ目の深刻な欠陥は、調査に関する規定が弱い点である。その内容の肝心な部分は形式的・儀礼的なものに止まり、効果を上げられないことがだいぶ前から明らかとなっている現行のやり方の踏襲を求めるている。化学兵器禁止機関(OPCW)事実関係調査ミッション(FFM)及び化学兵器調査機関・国連共同調査メカニズム(JIM)は未だ現地にスタッフを派遣すらしていない。土壌サンプルや医学標本の採集、検死も実施されていない。要するに、しなくてはならないことが何もされていないのだ。彼らの結論が拠って立つのは、主としてインターネット上で収集されたデータであり、反体制派を中心とする信用に値しない「目撃者」たちへのインタビューである。しかもこのインタビューが行われたのはシリア国内でさえなく、その隣国においてである。これほどまでにあやふやな根拠をもとに出された結論など到底信用することはできない。これは真剣で重要な作業とは言えず、歪曲であり冒涜である。

我々の主張としては、FFM及びJIMはただちにハンシャイフンに赴き可能な限りの方策を尽くして真実を突き止めるべきである。その際には、現地及びその隣接地域で調査員が自由かつ安全に活動できることを保障する必要がある。また調査団は、その調査の結果を根拠となった証拠とともに国連安全保障理事会およびOPCWに提出しなければならない。

もうひとつ重要なのは、こうした調査に従事する査察団の構成は国際的性格を有するべきだという点である。これが実現して初めて、調査活動は公平で偏りのないものと言える。なぜこんなことを申し上げるのかと言えば、シリアにおける化学兵器禁止機関事実関係調査ミッション(OPCW JMM)の構成において、NATO諸国が圧倒的多数を占めているからである。さらにその2つのセグメントの長を務めるのは、どちらも英国人である。このお二人がその道のプロとしていかにすばらしく、また指導者とし卓越しているとしても、これは到底正常とは言えず、広汎かつバランスよく各地域を代表するという国連憲章の理念にも反している。当然のことながら、こうした状況はただちに修正すべきである。「遠隔」調査という使い物にならない慣行はいい加減にやめるべき時期が来ていることは、もはや疑いない。