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9月17日に発行された読売新聞の編集記事に関するロシア大使館のコメント

読売新聞の「ロシア通」の方々へ

 

9月17日、日本の大手新聞「読売」に掲載されたロシアに関する社説は、実に驚くべき内容だった。読者に提供されたのは、ステレオタイプの反ロシア主義と根拠のないロシアに対する非難を終始一貫繰り返すだけの記事で、プロの仕事とは言えないものであった。執筆者は、自ら行った「批判」を裏付ける最小限の論拠を示す労さえ厭う有様だ。

 

一例として、ロシア政府は欧米との対立を利用して国内での政治的立場を強化しようとしていると「大まじめに」結論づけているが、まったくナンセンスだ。社説はまた、「与党陣営による野党勢力の迫害」に関する一節も喜々とした様子で書いている。

 

読売新聞の紳士は、現代史についてほとんど知識がありません。ロシアと西側との対立は、そもそもは西側によって始められたのである。そしてその西側を率いる「唯一無二」のリーダーは、自制心と現実的感覚を失った米国である。「民主主義国家」である西側諸国がロシアの自立した外交政策を認めないこと、また西側によるロシア内政干渉を阻止されたのを受け入れようとしないことが、ロシアと西側との対峙の根底にはあるのだ。クリミアでは、民主的な住民投票によって彼らの歴史的祖国であるロシアとの再統合が実現した。西側にとってクリミアは、いわゆる経済制裁を実施するための言いがかりに過ぎない。制裁に対してロシアは適切に対処し、制約を課せられたにもかかわらず経済成長をものにしている。読売新聞の「アナリスト」は、この点には言及したくないようだ。いや、もしかしたらただ知らないだけかもしれない。ロシアが西側に対して制裁撤回を乞いはしないことを知らないのと同様に。

 

同じく読売新聞が無視しているのは、西側によるロシアに対する軍事的圧力である。NATOの東方拡大やINF条約をはじめとする軍備管理に関する各種条約の破壊は、西側がロシアの優位に立つことを目的として行われている。しかしロシアはここでもまた適切に対応し、西側の軍事的優位を許しはしていない。ロシアの年間防衛費は約500億ドル(日本の防衛費と対比してみよう)である。その枠内でロシアがこれを成し遂げていることに注目していただきたい。一方米国の防衛費は、年間7,000億ドルを上回っている。

 

このほかにも読売新聞が「忘れていた」こととして、ロシアでは民主主義の主要機関すべてが然るべき形で機能している点、権力分立の原理が守られている点、直接選挙・公開選挙によって国家元首、多党制議会の議員、地方や市町村の首長等が選ばれている点などが挙げられる。ちなみに、すべての国が国家元首を選ぶ際に民主主義のツールである選挙に拠っているわけではない。またロシアでは、国民の自由と権利、政治信条の多元的共存が尊重されている。権力が言論と良心の自由を侵害することもない。規定の手続きに沿って認められた平和的抗議行動への市民による参加の自由も、この中に含まれる。

治安機関はその権能の範囲内で、不許可で実施される集会や街頭における混乱等の違法行為を阻止する。これは非民主的な現れではなく、それなくしては民主主義社会の存続が成り立たない法秩序を保障するものである。優れた見識を自認する日本の新聞が、これについて知らないということは、よもやあるまい。

 

読売新聞の「アナリストのトップ」は、世界におけるロシアの孤立を呪文のようにしつこく唱えている。執筆者は職業的な近視眼のせいで、数々の大規模な国際フォーラムがロシアで盛大に開催され多くの国々から参加者を集めていることが目に入らないようだ。G20、APEC(アジア太平洋経済協力会議)、EAS (東アジアサミット)、SCO(上海協力機構)をはじめとする主要機構でも、これを率いる国々の中にロシアは名を連ねている。国際テロリズムや麻薬取引との戦い、軍備管理や気候変動問題への取組みといった、グローバルな喫緊の問題の解決において、ロシアは独自の役割を果たしている。2018年に開催されたサッカーワールドカップは、国際交流に向け広く開かれたロシアを示す鮮やかな例となった。

 

露日間の二国関係が前進的に発展している点についても言及したい。首脳会談を筆頭に、に両国間では定期的にコンタクトを保っている。65ヶ国から数千人に上る参加者を集めた9月の東方経済フォーラムに際しては、安倍首相がウラジオストクを訪れ、プーチン大統領との間で27回目にあたる首脳会談が行われた。尊敬する読売新聞殿、これもまたロシアの孤立と言えるのだろうか。

 

今日孤立状態にあるのはロシアではなく、日本の主要同盟国にして、師でもあろう米国である。包括的核実験禁止条約(CTBT)を批准しなかった数少ない国のうちのひとつはどこか。気候変動に関するパリ協定から離脱した国はどこか。イラン核問題に関する包括的共同行動計画を破壊しようとしている国はどこか。しかもこういった行為はすべて、大多数の国々の意向に反して行われている。しかしこれらの点に関する記事、とくにCTBTに関する記事は、読売新聞ではどうやら見当たらないようだ。日本は米国の原爆による犠牲になったではないか。読売新聞は「武力によって現状を変えた」としてロシアを根拠なく非難する一方で、イラク、ユーゴスラビア、リビア、シリアといった国々で米国およびその同盟国が現実に犯した犯罪については、必死で口をつぐんでいる。ロシアに対してはかくも「不敵な」読売新聞のコメンテーターも、「兄貴分」の怒りは恐れていると言うのだろうか。あるいは、国際場裡における米国の破壊的行動に単に同調しているだけなのだろうか。

 

ああ、どうやら実際にそのようだ。今回のロシアに関するでたらめの記事は、執筆者が偽善的に表現したような我が国への配慮、懸念から書かれたのではない。ロシアが強く、自立した経済先進国である、という状況が、どうやら読売新聞には不満なようだ。その逆であってほしいのだろう。それで悪意をため込んで、今回の記事で発散したのである。ところでこの記事は、読売新聞が自身の読者を軽視していることを証明するものでもある。このような虚報を教養もあり博識な日本の読者に押しつけるとは、取りも直さず、プロとして地に落ちていることを示している。