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米国およびウクライナの要請により開催された、ケルチ海峡事件を協議する国連安保理会合でのD.ポリャンスキー国連次席大使による発言

尊敬する議長閣下

いろいろな話も出ましたので、やはりここで、私どもがどうそれらを受け止めているかということをお話ししたいと思います。ただ、その多くについては、話す価値すらないとは思っているのですが。多くの点で、想定通りです。まず、われわれは、他の議題で会合を開くべしとしたわが国の提案が、きわめて正しかったことを再び確信しました。今、併合だとか、占領だとか、侵攻だとか、いろいろなことが言われました。どうやらわが国は、アゾフ海も占領し併合したことになっているようで、私も驚いた次第です。まったくもって知りませんでした。しかし、本題についての発言は、ほとんどありませんでした。尊敬するV.エリチェンコ・ウクライナ国連大使については例外ですが、ただ、事実を捻じ曲げていらっしゃる。これについてはまた後で述べさせていただきます。

問題は、なぜウクライナ人が、問題なく運用していたケルチ海峡の航行に関する既知の体制について、突然あからさまな挑発行為をとり、自国の海軍兵士を危険にさらしたのかということです。この質問について回答しようという人は、誰もいませんでした。誰も、何も言おうとはしていません。つまりこれは、ウクライナに対し、似たような挑発行為を続け、焚きつけ、同地域におけるすべての人々に対する脅威を作り出すことを許すお墨付きが与えられたと受け止められても、おかしくありません。エリチェンコ大使の発言を伺っていると、ウクライナはそのシグナルを受け止めたようです。

これまでの発言者の皆さまについて、いくつか訂正していただきたい点があります。ディカルロ事務次長は、クリミア問題とミンスク諸合意をどうも混同されていておかしなことになっているようです。事務次長はミンスク諸合意をお読みだと思いますが、クリミアについてはそこには一言も書いてありません。また、ウクライナの主権を尊重せよと呼びかけられました。ですが、ロシア連邦の主権もまた、尊重されるべきではないでしょうか。少なくとも私どもは、そう理解されているとの前提に立っています。

ヘイリー米国連大使も、クリミアはミンスク諸合意の一部になっているとのご理解のようです。そして、これは聞き間違えかもしれませんが、アゾフ海についてもまた、ミンスク諸合意の対象だというように理解いたしました。

このような無知ぶりに、残念ながら驚く次第です。先に行われた会合では一回を使って、ミンスク諸合意を最初から最後まで読み込み、その分析にあたりました。それでもなお、こういった無茶を耳にせざるを得ないのですから。

当の事件に関してですが、疑問点がたくさんあります。調査はまだ、もちろん、継続中です。私どもはその結果を必ずご報告します。「熱の冷めぬうちに」性急なことを言いたくはありませんので。ただ、この場で言及されておらず、しかし明らかに意味を持っており、事件を分析する上で必要となる二つの点についてのみ、申し上げたいと思います。

まず、艦船の一隻には、ウクライナ保安部の職員2名が乗船しており、そういう行為をせよという特殊任務を負っていたと認めております。そのことについても報告します。

また、クリミア云々を言うのであれば、小さいながらも重要な項目として、ウクライナ側は2014年までにすでにロシア領となっていた箇所を侵犯していたという点を挙げておきます。ウクライナはしかも水先案内人を置かず、闇雲に南方からケルチ海峡に入り込んできました。これはまさしく、横暴な挑発です。そうとしか言いようがありません。しかしながら、皆さんはこの挑発行為を、意識的に隠ぺいしようとしているようです。ですがウクライナの言い分を支持するなど、そういった行為がまた、ウクライナ東部のそれを含む状況の深刻化を招いているのです。

OSCEの同僚からの報告では、ウクライナ軍は接触線に「ブク」S-300地対空ミサイルシステム、ロケット砲弾システム「グラード」「ウラガン」を配備しました。ルガンスク地方での兵力分離もブロックされています。ゾロトエ、ペトロフスコエの分離地帯に兵士が入っています。ウクライナ軍72旅団は、スベトロダルスカヤ地帯のラッサトキ村を占拠しています。これらは、具体的にミンスク諸合意に違反している例です。それ以外の、少なくとも今日ここで話された事例は、これとは全く関係がありません。ですが皆さんはこの事実を完全に無視していらっしゃる。

クリミアは国連安保理会合の議題にはなっていませんが、クリミアの問題に触れられる以上、クリミアの帰属については、誰かの気に入ろうが入るまいが、わが国としても、クリミアの住民にとっても、すでにだいぶ前に決着がついているのです。制裁や制限で、われわれの決定が変わることは決してありません。この問題は、自己決定権によりクリミアの住民が自由意志を表明した投票で、ロシアへの再統合を選んだ時点で終わっているのです。西側が「ウクライナ」という、反ロシア的な地政プロジェクトをやたらに推進していくことも含め、どういうことになるかわかっていたか、とよく聞かれます。もちろん、わかっていました。幻想とは無縁でした。ロシアは起きたことを後悔しているか?いえ、全然後悔していません。どころか、ロシア人の多くはこのことを誇りに思っており、当時われわれがクリミアの人々の側に立たなければ今、ドンバスのロシア語住民と同じく、ウクライナ軍の砲弾に当たって死んでいたでしょうから。それもロシア語で話したい、自分の子どもにロシア語を教えたい、ファシストと協力せず、ファシストからウクライナを解放した人々を偲びたいと思ったそのためだけに、死んでいっているのです。

また(会合の「正式な」テーマでの先ほどの発言では申し上げませんでしたが)、キエフ政府の決定は、過激な民族主義者を野放しにするようなものです。ここ最近彼らの活動は特に活発化しています。例として、誰も言いませんでしたが、警察が手をこまねく中、キエフのロシア大使館がまたしても攻撃にあいました。本日未明、外交官の車が燃やされたのです。過激派は依然として、外交官詰所を襲撃すると脅迫しています。それに対して皆さんから何の反応もないであろうことは、私もよくわかっています。皆さんにしてみれば、通常のことなんでしょう。

われわれはウクライナ側に対し、ウクライナにあるロシア大使館および総領事館に、1961年外交関係に関するウィーン条約の定めるところに基づき、完全かつ議論の余地のない不可侵性を保証することを求めるとともに、襲撃犯の責任を問うことを要請する次第です。

 

議長閣下

閣下は中国を代表されていますので、孔子の名言から、暗闇で黒猫、なかでもいないものを見つけるのは非常に難しいという言葉を引用することにいたしました。

これこそ今まさに、ご出席の皆さまが、われわれがここに一堂に会した会合のテーマを離れてまで、ありもしないロシアの侵略について話していたことと同じです。実際の問題は目の前にあって、申し上げた通り、その解決は難しくありません。ワシントンからの一報があれば、10分で決着がつくことです。ですが残念ながら、ウクライナの代表の方々の発言を聞いた結果、ずいぶん舞い上がってこれからも挑発行為を続けていかれるようだとの結論に達しました。それゆえにここで耳にしたような、われわれがマリウーポリの占領を計画しているかのような、荒唐無稽な話が出てくるのです。

最後に、アメリカやEUと協調してロシアとの衝突を挑発するようなキエフ政府の方針は、非常に深刻な結果を招き、行き過ぎています。われわれは、アゾフ海および黒海水域を含むロシアの主権や安全保障に触れようとするいかなる行為も、厳しく制止します。これについてはご理解いただけるものと望んでおります。

ご清聴ありがとうございました。