大使館ニュース

戻る

◆私の視点◆ ミハイル・ガルージン在日ロシア大使 (朝日新聞、2018年5月18日)

韓国と北朝鮮の南北首脳会談に続き、近く初の米国と北朝鮮の首脳会談が開かれる。北朝鮮と国境を接するロシアにとっても非常に好ましい動きだ。

ロシアは中国とともに、北朝鮮の核、ミサイル開発と、米韓の軍事演習などを同時に停止し、対話につなげることを提案してきた。実質的にこの提案通りに情勢が進んでいる。

ロシアは、朝鮮半島の完全かつ不可逆的で検証可能な非核化を求めている。その具体的な方法の議論は、南北朝鮮と米中ロ日が参加し過去の蓄積もある6者協議がふさわしい。米朝会談を経て、6者協議が実現してこそ、地域の平和と安定が確立されると期待する。

ただ、朝鮮半島の緊張緩和で、ロシアを取り巻く安全保障環境が好転するかどうかは疑問だ。米国のミサイル防衛システムは北朝鮮やイランではなく、明らかにロシアや中国に向けられている。米国はロシアを敵視し、北大西洋条約機構(NATO)の勢力を拡大したり、極東に軍事基地を展開したりしており、ロシアも相応の対策をとらざるを得ない。

多極化した現在の国際社会の外交や協力は、国連を中心に進められるべきだ。だが、世界への影響力を維持したい米欧は、国連中心主義を自分たちへの脅威と見なし、ロシアの孤立化政策を進めている。

例えば、英国で起きたロシアの元諜報員の殺害未遂事件で、英国は根拠も示さずロシアが関与した可能性が高いと主張する。だが、ロシアはすでに化学兵器を完全に破棄し、化学兵器禁止機関(OPCW)もそれを確認した。英国の主張はロシアに対する陰謀だ。

日本政府も4月の主要7カ国(G7)外相会合で、ロシアに「有害な行動の停止」を求めることなどを盛り込んだ共同声明の採択に賛成した。これは、ロ日関係の良好な発展に寄与せず、残念な判断だ。

ロ日関係は今、大変重要な時期にある。政治対話が深まり、相互の貿易量も増えている。平和条約についての対話も続いている。今月末には安倍晋三首相がロシアを訪れ、国際経済フォーラムや文化交流年事業の開幕式に出席し、プーチン大統領とも会談する。これを機にこうした好ましい傾向がさらに強く、広く拡大することを期待している。

リンク

承諾番号:18-2478

*朝日新聞社に無断で転載することを禁じる